新型出生前診断【NIPT】を検討するうえで

新型出生前診断【NIPT】

NIPT新型出生前診断を検討、
受検し、紹介記事などを書くうえで、
どうしても踏み込みにくい、
陽性という結果に対すること。

私の場合陰性という結果だったものの、
陽性だった場合どうしたのか、
そもそも、
「どうする、どうもしない」という考え方自体がどうなのか。

このあとご紹介する、
「日本ダウン症協会」理事長の玉井邦夫さんの

お願いがあります。ダウン症に関する様々な知識が、まだまだ世の中に届いていません。どうか、ダウン症の事を説明する時に、「残念ながらお腹の赤ちゃんには・・・」という説明をしないでください。
子供を妊娠した事にまず、とにかく社会が「おめでとう」と言ってください。
その前提がない中で、「染色体疾患がある子は残念な結果でした」と伝えられるのであれば、どんなに言葉を語っても、それが本質的な意味で、個人の多様性を保障する遺伝カウンセリングになるとは、どうしても私たちには思えません。

という言葉は響き、
改めて答えは出ない難しい問題だなと思う次第です。

新型出生前診断【NIPT】でわかる事は?

NIPT(新型出生前診断)は、
非常に精度が高く 、
妊婦さんに負担が少ない、採血のみでできる検査であり、
主に次の3つの疾患の有無を調べることができます

 13トリソミー18トリソミーダウン症候群
(21トリソミー)
身体的特徴成長障害
呼吸障害・摂食障害
胎児期からの成長障害
呼吸障害・摂食障害
成長障害
筋肉の緊張低下
特徴的顔貌
合併症※口唇口蓋裂
多指趾症
眼の病気
心疾患(80%)
全前脳胞症 等
心疾患(90%)
消化管奇形
口唇口蓋裂
関節拘縮 等
心疾患(50%)
消化管奇形(10%)
甲状腺疾患
耳鼻科疾患
眼科的疾患 等
発達予後運動面、知的面ともに強い遅れを示す。
言葉の使用は難しいが、サインや表情で応えることが可能なこともある。
気管挿管や呼吸補助が必要である。
運動面、知的面ともに強い遅れを示す。
言葉の使用は難しいが、サインや表情で応えることが可能なこともある。
気管挿管や呼吸補助が必要である。
ダウン症候群の子どもの多くは、支援クラスを利用しながら地元の学校や特別支援学校に通っている。
スポーツ、芸術などのさまざまな分野で活躍している人がいる。
寿命90%は1年以内胎児死亡も高頻度(50%)
50%は1か月、90%は1年
50‐60歳

13・18トリソミーに関しては流産になる事も多く難しいですが、
21トリソミー【ダウン症候群】は、
活躍されている方も多く、
染色体異常=残念とはやはり結びつかないでしょう。

しかし、
NIPT(新型出生前診断)
陽性=中絶となっている状況とも言えます。
(データでは9割ともいわれます。)


ダウン症候群(21トリソミー)とは

ダウン症候群とは、21番目の染色体に異常がみられる染色体疾患です。
21番目の染色体の構造によって、標準型、転座型、モザイク型の3つに分かれます。一般的に、よくみられるのは標準型です。
通常、21番目の染色体は2本ですが、標準型の場合は3本あります。
一方、転座型の場合、染色体の一部分が、他の染色体にくっついてしまう状態のことです。
最後のモザイク型ですが、元気で正常な21番目の染色体を有する細胞と、21トリソミーを有する細胞が混ざり合っている状態のことを指します。
出生後は小柄ですが、少しずつ成長していきます。筋肉の緊張が低下しているため、運動の発達は時間がかかります。また、知的発達は個人差があり、言葉の発達はゆっくりです。子育ての際に、より手をかけてあげることが必要なことがありますが、その子にあった赤ちゃん体操やリハビリテーション、療育により、最大限の発達を引き出すことが可能です。
また、厚生労働省の研究班のアンケート結果によると、ダウン症のある方の約9割が「幸せを感じる」という結果がでています(n=841名)。
就業する方も多く、スポーツ・芸術などさまざまな分野で活躍している方もおり、社会性が保たれていることが多いです。現在の平均的な寿命は、50 ~ 60代です。

「日本ダウン症協会」理事長の玉井邦夫 さん

非常に難しい答えの出ない話ではあるものの、
そんな中、
NIPT元年のシンポジウムで親として語ったお話が響いたのでご紹介したいと思います。
NIPT【新型出生前診断】を検討されていて、
こちらのblogに流れ着いたのでしたら、是非読んでみてほしいです。

2012年11月13日 日本産科婦人科学会・公開シンポジウム
「出生前診断 ―母体血を用いた出生前遺伝学的検査を考える―」
財団法人日本ダウン症協会 玉井邦夫理事長 講演録
「何を問うのか 新しい出生前検査・診断とダウン症」

財団法人日本ダウン症協会の理事長をしております、玉井です。既に予定の時間は大きく超過をしているのですが、頂きました 15 分間を使わせていただきます。ただ、今日登壇をする 7 人のうちで、私は唯一、医療の技術者ではありませんし、医学の研究者でもありません。
その立場の違いもありますので、スライドで資料を映して説明する予定はありません。15 分間、言葉で説明させていただきます。
既に6名のシンポジストから、今回の臨床研究についての説明がありました。
この報道がなされてから、2カ月以上経ちますけれど、文字通り、全く休みなく取材が続いております。
今日お集まりの報道各社の方にもぜひ、ご理解いただきたいのですが、多くの取材の
申し入れの中で、「出生前検査を実際に受けた人を紹介してください。受けてどんな気持ちだったかを話してもらいたいのです」という依頼がありました。
日本ダウン症協会は、これを全部お断りしてきましたが、そんなに簡単に、突然訪ねてきた方に、私がこうやって検査を受けましたと語れるような問題ではないのだということを、改めてこれまでのシンポジストの方が紹介してくれたエピソードから、どうぞご理解いただきたいと思います。
ダウン症の検査という触れ込みで報道が始まりましたけれども、この間、一度として「ダウン症が出生前診断の対象となりうる重篤な疾患なのかどうか」という議論にはなっていません。
もちろん、「重篤」という言葉が、出生前診断ではなく、着床前診断に関するガイドラインに出てくる言葉だという言い方もあるかもしれません。ただ、なぜ、ダウン症がここまで、標的になるのか?
それを私たちなりに、毎日考えます。
今回の検査が量的な検査であるがために、構造異常であるトリソミーが最も分かりやすい。それは、よく分かります。13番、18番、21番。
しかし、報道は常に21番トリソミーであるダウン症に向かいます。
なぜなのだろうと考えたときに、ただ一つたどり着ける結論は、彼らが立派に生きるからです。
しっかりと何十年かの人生を生きるから。
だから、この子たちは、生まれてくるべきかどうかを問われるのだとしたら、いっ
たい私たちが問うているのは、どういうことなのか?
そのことを、もう一度、会場のみなさんに考えていただきたいと思います。
そして、もう一つ。
現在は、技術的な問題からすれば、トリソミーが全てでしょう。
しかし、
もうすでに様々な先生方からのご紹介があったように、必ずや母体血中の胎児情報が、それ以外のDNA情報に広がる日が来ます。
技術自体は、そうやって進んでいくものだと思います。
今、
なぜダウン症がターゲットになるのかを、生きるからだというふうに言葉の使い方を逆転させていただきましたけれども、ここでも、もう一つ逆転をしてください。
次にどんな疾患が対象になるのか。
次にどういう病気が対象になるのかという議論は果てがありません。
一度だけ振り返って、どんなDNAの人なら生まれてきていいのか、という問いをたててください。
そのときに、学会の理事長をはじめとして、「誰ひとり完全に正常な遺伝子を持っている人はいない」という見解と、どこに線を引くのかという議論がどうかみ合うのかということを、もう一度しっかりと時間をかけて考えていただきたいと切に願います。
もし、どこかで線を引かなければならない、そこには、切実な一人一人、個人個人の願いもあり、事情もあり、だからこそ技術が応用されなければならない社会的な意義もあるのだとしたら、線を引くこと自体は、社会が社会であるために必要だと思います。ただ、その線は、もはや合理的な知識で引かれるのではなくて、文化という知恵で引かれる部分だと思います。
だとすれば、その知恵が多様な子どもたちと生きる知恵として提示されていただきたいと、日本ダウン症協会は思います。
多くの出生前検査が、先ほど紹介されたスライドにもありましたように、「安心して」という言葉と共に語られます。
ダウン症候群は、知的障がいの10%に過ぎません。
その子たちの可能性が分かるということが、どういう意味で出産や育児や、その後の人生の安心につながるのか、それをきちんと考えていただきたいと思います。
21番トリソミーでない子は、交通事故にあわず、老化もしないというのであれば分かります。
けれども、どんな人間にも、生きていくうえでのリスクはありますし、どんな子どもであっても、育てていくための大変さはあります。
障がいの告知というのは、それを受けた親にとっては、確かに大きな衝撃です。
それは、ある意味、喪失体験だと思います。生まれてくる子とこんな家族でありたかった。
こんな親子でありたかった。こんな子どもになってほしかった。そういう憧れや願いが子どもに障がいがあると聞いたときに、一度崩れたように親は感じます。
しかし、その喪失感が実は幻想だということに気がついていくのが、子どもと生きていく知恵です。お腹の中にいる子どもが、20歳に成長するまで、ただの一度も親の期待を裏切らなかったという子育ては、おそらくありません。
けれども、通常の子育てには、一枚一枚薄皮が剥かれていくように子どもへの期待が失われていくのを、補って余りあるだけの子どもに対する発見の時間があります。障がいの告知は、その喪失からの立ち直りを、わずか数カ月間で要求する過酷な作業です。だから、質的に違うと思われるかもしれませんが、そこに本質的な違いはないと私たちは考えています。
子育てが全て期待した通りの理想の実現にはならないということ。子どもが一つ成長すれば、それは必ず親に新しい不安をもたらすのだということ。
自分一人だけの力で生きている人間は誰もいないということ。
子どもを育てるときに誰かの支えが必ず必要だということ。
どれ一つをとっても、私たち日本ダウン症協会は、それが染色体の変化からくる特性だとは思っていません。
全ての子どもと、全ての育児にある問題だと思っています。
障がいのある方たちのサポートにはお金がかかると、しばしば言われます。
それは、その通りだと思います。
全てをハードウェアで解決しようとしたら、全てを年金や制度で解決しようとしたら、当然、障がいのある方たちの生活の質を支えきるには、国家的な財政を考えた場合、非常
に制度設計上の無理が出てくると思います。そこには、ハードウェアで全てを解決する発想自体の転換が必要なはずです。
ソフトウェアで支える。そのために必要なのは、多分、何よりも、教育の力だと思います。この議論に、なぜ文部科学省が参加しないのか。教育を語ることでしか解決できない問題があるはずなのに、なぜその問題が、医療の現場や、当事者団体に任されるのか。
そのことを、このシンポジウム等を通じて、もっと広く、世間に対して発信していただけることを切に希望します。
私は、検査を受けたことによる思いを抱えて生きようとしている方たちとお会いしました。
13番と18番について、今日は何も語られていませんが、18番トリソミーの子どもを授かり、保育器から出ることのできなかった197日間、一生懸命に生きた両親とお会いしたこともあります。
一歩も保育器から出ずにその子は亡くなりましたが、今でもその両親は、あの子がなぜ生
まれてきたのか、何を自分たちに伝えようとしてくれたのか、懸命に見つけようとしています。
お願いがあります。ダウン症に関する様々な知識が、まだまだ世の中に届いていません。
どうか、ダウン症のことを説明するときに、「残念ながらお腹の赤ちゃんには・・・」という説明をしないでください。
子どもを妊娠したことにまず、とにかく社会が「おめでとう」と言ってください。
その前提がない中で、染色体疾患がある子は「残念な結果でした」と伝えられるのであれば、どんなに言葉を飾っても、それが本質的な意味で、個人の多様性を保障する遺伝カウンセリングになるとは、どうしても私たちには思えません。
議論には、必ず結論は出ないでしょうし、続けなければならない議論だと思っています。どうぞ、取材も続けてください。
ただ、私たちは、とても当たり前に元気に生きています。
どうか、それだけは、分かっていただきたいと思います。
ありがとうございました。

新型出生前診断(NIPT)施設:東京

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